みなさん、こんにちは。技術、企画の西山です。
今回はyoutube解説の補足に加えて、
お手入れを解説していきます。
ちょっと長いのですが、ジーンズメーカーとして説明足らずに
するわけにもいかないので、バイブル的永久保存版として
見ていただけたらと思います。
それだけジーンズというのは奥深いのです。
【ジーンズには、2種類あります。】
自分流に育てる履き方のジーンズ。
洋服と合わせやすく手入れしやすいジーンズ。
大きく分けてこの2通りの履き方があります。
ちなみにボブソンオンラインのほうは2のウオッシュタイプですが、
岡山デニムを使い経時変化を考えて作っていますので、
履いていくうちになじんでいきます。
2でありながら、1のように育てていけて1のわずらわしさがないジーンズと言えます。
さて、解説に入っていきます。
誰しも知るところの国民的アイドル元SMAPの
草なぎ剛さんのがジーンズに関する動画
もう迷わない!「ジーンズ」の選び方、伝授します!【草彅流ファッションの流儀!】〜HOW TO DENIM〜
こちらをアップしていて、その中で頑なに洗わずにジーンズをはいて育てると言うシーンがあります。
ジーンズを洗わない??
意味がわかりません。
そう思うかたもたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。
だって「不潔じゃないですか」って
言われそうですが、、、、
違うんです。意味がちゃんとあるんです。
草なぎ剛さんは言わずと知れたマニアで、特にジーンズに対しての情熱はアツイ。
過去に日本でジーンズが似合うベストジーニストにも
1999年~2003年の5年連続で選出されていて
草なぎさんが選出された時代のほうが近年に比べ
服に対してのこだわりが 強く、その当時に表彰されているというのは
しかるべきしての受賞であると思います。
歴代ベストジーニスト≪wikiから引用:クリックして大きくしてみてください≫
↓↓↓↓
wikipedia:ベストジーニスト
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%99%E3%82%B9%E3%83%88%E3%82%B8%E3%83%BC%E3%83%8B%E3%82%B9%E3%83%88
うーん、、、怪しいひともいますね、、、ジーンズ履いてたっけ、、的な
※近年、受賞した出川哲郎さんはジーンズを普段まったく履かないそうで、芸能とファッションが希薄になっていることが感じますね。。。
さて、そんなジーンズマニアの草薙さんが、なぜジーンズを洗わないのか。それはデニムの性能や特性が深くからんできます。
結論から言うと
洗わないジーンズの狙いは1の育てる系ジーンズであり
【濃色を保ちながら、非常にかっこよく履きシワが仕上がる】
ということなのです。
ジーンズは一般的にデニム生地で縫われたもので
本当のデニムの定義は縦糸がインディゴで何回も染められ特濃ネイビーに芯白に染められたものであります。
芯白に染めるというのは表面だけ染めた状態で
糸をよくみますと中が白いのがわかります。
↑表面がこすれて白くなったデニム。
横糸が白糸なので、ある一定の間隔で下の白糸が見えてチラツキがあるのもデニムの豊かな表現がでる特徴です。
上記のデニムが岡山デニムです。
非常に高密度で質がいいのがアップでもわかりますね。
【デニムの染料性能はザク】
インディゴという染料が非常に脆弱なものでありまして
性能を例えるときによく私は『ザクのようなものです』と言います。
ザクはガンダムで最弱モビルスーツで、第1話で劇的にやられますw
何百体とモビルスーツがでるガンダムにおいて、最弱。
(ちなみにボブソンでは、後にカスタムされまくるザクのように性能を上げることで
信じれないぐらい色落ちをまったくさせないようにすることも可能です。)
それぐらいインディゴの染料の中では弱いもので
・摩擦に弱く。
・紫外線に弱く。
・空気酸化に弱く。
・あげくには自分で勝手に分解しています。勝手に死んでます。
・力も弱く、めっちゃ非力で糸に必死にしがみついてるイメージです。
そのかわりに早い段階で、自分の体に馴染み
生地組織が物理的に崩壊するより前に、表情豊かに色目のコントラストを楽しむことができます。
これが、ジーンズが長年愛されてやまない最大の特徴です。
ジーンズを洗わないということは
余計なインディゴの脱落をさせずに、自分流のコントラストを付けながら
何年も履きたいということなんです。
新品のジーンズを育てる場合、好きなかたはセルビッチにこだわるかたもいます。
このセルビッチという特徴は、デニム生地の端に赤いラインが入ったもので
旧式のシャトル機で織られた証であります。
セルビッチのほうが生地幅が狭く基本的に生地の値段が高いです。
セルビッチをシングル幅の生地、生地幅が長く赤いラインがない量産型のものをダブル幅のデニムと言います。
シングル幅の生地に比べ、ダブルのほうが縮み幅は小さく安定している傾向にあります。 (育てる系ジーンズのデニムにおいて)
状況により縮み幅は変化しますし縦と横、場所でも縮み率は変化するデリケートなものですが参考までに下記になります。
●セルビッチ防縮加工なしのもの
※昔の生地、製法で作られたものデッドストック、 約15%
100センチのものが85センチに
●最近のセルビッチ。
防縮加工ありのもので 約3%
100センチのものが97センチに
●ダブル幅
だいたい防縮加工かかっています。約3%
100センチのものが97センチに
何回か洗っているものは、縮み終わっているので 大きく縮むことは少ないです。
ジーンズを洗うということは
インディゴを剥ぎ落とす行為です。
インディゴ染料がびっしりついた状態の
デニム糸から、たくさんのインディゴ染料を脱落させます。
この結果、色が薄くなっていきます。
特濃のデニムを洗濯すると洗濯機の中の水が青くなることもあります。
これはインディゴが脱落している証拠。デニムにはデメリットタグが必ず着いています。
【色移りのために、他のものと一緒に洗濯しないでください。】
など書いていると思います。それはインディゴの脆弱さからくるものです。
表現は豊かなのですが、かわりに色が落ちやすいものなのです。
【ジーンズの『味』の秘密】
洗わないジーンズがなぜ良いのかの大きな特徴に
【インディゴ染料が酸化分解されたあとは、インディゴ分子はベージュの色になります。】
この酸化したあとのベージュと濃いインディゴの色目が混ざりながら
若干の緑味に色が振れて、独特の深みがある色目になる傾向にあります。
これを一言で表すなら『味』ということになります。
ウオッシュジーンズでこの古着のベージュを表現するために
わざわざベージュ色に染めたりします。
洗濯をたくさんするジーンズはキレイなサックスになりますが
育てる系のジーンズは緑味に触れる、粋な味をまといながら独自の色を楽しめます。
【自分の物語を成型する】
そして摩擦やテンションがかかり、自分の身体に馴染みながら
大腿部やヒゲなどの部位が色が落ちて、芯白の中が露出していき
自分しか出せない履きシワ:ヒゲが形成され
世界で一本のジーンズが作り出されていくのです。
これが育てる系ジーンズ最大の醍醐味です。
ちなみに今、弊社の新商品のセルビッチジーンズも製作中です。
是非、楽しみにしていてください。
デニム生地を織りやすくするため縫製したてのデニムは「生/リジット」といわれる状態で『糊』がしっかりついていて、バリバリな状態です。
この糊がデニムを摩擦や紫外線から多少なりにも守る役割をもっているので、この糊を残したままジーンズを履くことでコントラストを強める効果があります。
糊の内容とはなんぞやと思いますが、今はポリマーなんかも使われてはいますので一概には言えませんが、
多くはコーンスターチ/でんぷんであります。生の状態のまま長時間、何年も経つと腐るので注意が必要です。
【生デニムを履くのはオススメしません】
※最近のリジットジーンズといわれるものの中には
縮率が0%になる加工もあり生で履くのを想定したものもありますが
基本的には
糊の腐敗の心配や、縮率のこともあるので
生のまま履き続けるのはオススメしません。
一度洗濯し、ある程度糊を取り、縮ませてから自分で育ていくのがセオリーです。
ジーンズショップで私が働いていたときに推奨されていたのが、新品の育てる系ジーンズを履いて風呂に入って糊を落とすというもの。
↑参考にした写真もいい感じに水が青くなっていますねw
聞いたときはドン引きましたが、デニムの特性を知れば理に叶った方法だと思います。
洗いながら自分の形に縮ませることができるのです。
しかし、お湯は厳禁です。
糊は落ちやすいですが温度を上げるとインディゴがより脱落しますし、意図しない縮みが生まれやすいです。
意図しない毛羽立ちもできるので、これがカッコ悪いです。
【買ってからの最強お手入れ】
※ジーンズの色落ち、コントラストのことだけを考えた方法です。
※ジーンズを履いての風呂洗いは自己責任でお願いします。
1、縮率も考慮し生の状態のジーンズ、1サイズ上を買う
※店員さんにどれだけ縮むか相談したほうが無難。
2、たたんで店頭にある場合、横脇に折り目があるはずなので
あて布をあて、アイロンをかけて折り目を伸ばす
3、洗って縮ませる。
2.折り目がなるべく付かないようにゆっくり付けてバスタブの水に30分ほど手で泳がせる
or
風呂に一緒に入る(水かぬるま湯で)。
3.良く水を切り、シワを伸ばしまくって網などの上で陰干し。
1-3をもう一度繰り返して、縮ませ形を安定させる。
4、2日ほど生活で履く
5、100均一やホームセンターで洗濯のりを買って、スプレーなどで糊付けして乾燥
6、なるべく洗濯せず履き続ける
――― 初期手入れを済ませ縮ませたジーンズを ―――
――― 洗っていきましょう ―――
新品に近い場合、摩擦を避けようとネットに入れるとシワになった部分が擦れて意図しない部分にアタリ(白くなること)のスジが出てしまったりします。
水量が少なく動きが少ない洗濯も同様に、このようなスジ張りになりやすいので、注意が必要です。
ジーンズ履いてお風呂に入るというのは、この変なアタリが出にくいので、これも理にかなっていますが
毎回お風呂に一緒に入るのは、過酷でありますので
最初の数回は一緒にお風呂に入って
その後の縮率が安定したあとの洗濯をかけていくのがいいと思われます。
ジーンズは裏返しの状態で縫製が上がってきます。新品に近い
形というのは裏返しの状態です。
不必要なインディゴの脱落や摩擦を防ぐのと、形崩れを防ぐために
裏返しで洗うのもオススメです。
裏面の皮脂なども落ちやすいです。
注意点が下記になります。
●ネットには入れない
●洗剤を入れない
●回転が少ない、遅いモードで。例えば布団モード、低速モードなど。最強は風呂や桶などで手洗い。桶の場合、45リットル以上の大きなもの推奨。
●裏返しで洗う
●なるべくたくさんの水で洗う。洗濯機の場合、水量45リットルなどマックスで。
●洗濯が終わり脱水が終わるとすぐに取り出す
●取り出し後、シワを伸ばしまくる。
新品に近い場合ここでどれだけシワを伸ばしまくれるかが勝負。
取り出し直後のアイロンは変なツヤがでるのと縮みが怖いのでNG。
●ウエスト伸びや形くずれのために、平置きを推奨。陰干しだと裏面が乾きにくいので、工夫してください。
●陰干しで直接日光にあてない(日光あてて急激な乾燥をさせると硬く仕上がりやすいので、陰干しで緩やかに乾燥させる)
●ボブソンに風呂が青くなったとクレームを入れない。
●紫外線に触れる場所をさける
●ヘビーローテーションをさける
●破れてきた場合の究極のリメイク
これでも縫っているのはわかりにくいですが、デニムの生地目に沿って
≪リメイク≫
すれば、もっとわからないようにすることも可能です。
薄い布を下に当てて生地目に合わせてリメイクします。
細かく、破れより少し大きい場所を長方形や楕円をイメージしてミシンで縫います。
破れた場所は劣化していますので、まだ劣化が少なく丈夫な場所から
広めに≪リメイク≫するのが長持ちさせるコツです。
(1)の育てるタイプのジーンズに対しての最上級の手入れをお伝えしましたが、こんなの気にせずバンバン履くと言った方も多いと思います。
もちろんその履き方でもいいと思います。
その人その人に合った楽しみ方をするのが1番だと思います。
このブログでデニムに対して、それぞれのケアの意味を知っていただければ
嬉しいです。
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