株式会社ボブソンホールディングスは、2018年に設立された卓球リーグ「岡山リベッツ」の最初の出資者であり、スポンサーでもあります。
当時は、まだプロ卓球ビジネスが成り立つかどうかなんて、まったく分かりませんでしたが、福原愛選手の活躍以降、少しずつ卓球が注目を浴びるようになってきていましたし、卓球ファンが増えつつあることを自身の肌で感じていました。
また、ちょうどその頃、私は「ファッショナブルな卓球の実業団チームを作り、業界に一石を投じたい」と考えていたのです。
熟考した結果、単独の企業でムーブメントを起こすよりも、全国規模のプロチーム、しかも世界で活躍するトップ選手たちの方が影響力は高いだろうと考え、「岡山リベッツ」を応援する決断をしたのです。
半世紀もジーンズを作ってきたジーンズメーカーBOBSONが、なぜ卓球なのか?
その情熱の源は、BOBSONが受け継いできたパイオニア魂と、「アメーバ型の共創ブランド・メーカー」という経営スタイルにあります。
「ラージボール(新卓球)」の普及へ
2021年4月14日、株式会社ボブソンホールディングスは、株式会社ソフトアスリート「Soft Athlete Co., Ltd」(略称S.A.C)を設立いたしました。
新会社のミッションは、「個人レベルの市民スポーツ組織を自律的に持続成長が可能な組織とするための支援活動を現場レベルで行うこと」です。
その第1弾として「ラージボール(新卓球)」を採用しました。当面の活動目標は、ラージボールを硬式卓球と同様レベルにまで普及させることです。
ラージボールは「新卓球」とも呼ばれ、近年、シニア世代を中心に愛好者が急増している新しいスポーツです。人気の理由は、勝ち負けを超えた「心身の楽しさ」と「和気あいあい感」にあります。
「楽しい」という気持ちは、生きがいの原点だと思います。この点で、ラージボールは、絶対に普及すべき価値があると、私は確信しております。
好きになれるスポーツに出会い、それを通して多くの仲間とのコミュニケーションの場を得ることは、健康寿命をのばすことにつながります。
健康寿命をのばすことは「持続的な社会づくり」に不可欠な社会的課題の1つでもあります。
私たちはこの会社を、一時の利益追求ではなく、多くの問題に直面する「市民スポーツの持続的成長を阻害する課題の解決」に役立てます。道徳的な判断力を持って現場に入り、課題解決に取り組んでいく所存です。
人生100年時代のスポーツ「ラージボール」
ラージボールで使用される卓球台は通常の卓球台と同じです。ボールは、通常の卓球で使う硬式ボール(直径40mm・約2.7g)と比べて大きく軽いボール(直径44mm・2.2〜2.4g)を使用します。
ボールが大きくて軽いので、空気抵抗が強く、ボール速度が抑えられます。
ラケットのラバーは、回転のかかりにくい表ソフトラバーの1種類に制限されています。また、ネットは硬式ネットより、2センチ高くなります。
つまり、高いネットを境に、回転と速度が抑えられたボールを打ち合うため、ラリーが長く続くのです。そこが、プレーヤーにとってもオーディエンスにとっても楽しくなる秘密です。
このようなラージボールの特性上、身体の安全性が高いうえ、未経験の方にとっても参加ハードルが低く、子供も大人も高齢者も、上級者も初心者も、性別を問わず一緒にプレーできるというメリットがあります。
ラージボールを楽しむことで体力向上や筋力の低下予防にも役立ちますし、頭脳を使うスポーツなので、脳内の血流アップにより、認知症や心筋梗塞などの予防にも期待ができます。
また、1人ではできないスポーツですから、大会や練習会場において新しい「コミュニケーションの場」を作る役割も果たします。
ラージボールは、まさに人生100年時代の最適スポーツだと思います。
株式会社ソフトアスリートの名称には、「柔軟な発想力を持つ知的スポーツ選手でありたい」という願いが込められています。
共同代表の藤井洋子さんは、ラージボールの指導や大会の開催に尽力してこられた第一人者です。
株式会社ソフトアスリートは、これまで藤井さんが個人で続けてこられた活動を法人化させ、持続成長できる自律型組織としていく計画を実行します。
また、一部の人だけが経済的な負担を請け負うのではなく、共感いただけるボランティアやスポンサーを中心とした「草の根的な活動」により、全員参加型のローコストな仕組みを追求していきたいと思います。
そして、ラージボールの楽しさをもっとたくさんの人に伝え、ラージボールを普及させることで、より健康的な社会を作っていき、「全ての人のより楽しい人生に貢献したい」という夢をかなえることができたらと思います。
「ラージボール」を通じて
次世代カルチャーを生み出したい。
現在、世界や国内の各地では、マラソンやテニス、自転車、ヨットレースなど、さまざまな競技において、プロではないハイアマチュア選手や一般の市民プレーヤーが参加できる大会が開催されています。
参加者たちは、各地の大会に出場することを生きがいにしたり、共に競ったライバルと友情を育んだり、いろんな街を旅する喜びを味わい、豊かな人生を楽しんでおられます。そういう方々の活躍の場をどんどん広げていけるような大会を運営していきたいのです。
株式会社ソフトアスリートは、全国のいろんな地域でラージボールの大会を開催することにより、単なる競技としての楽しみに加え、参加する楽しさを提供できればいいなと思っています。
ラージボール大会を、たとえばファッショーや音楽フェスタ、グルメツアー、温泉卓球など楽しい要素を多彩に含んだイベント性の高いフェスと共同開催して地域の活性化につなげ、参加される方々の輪を広げて、多様性のある先進的な場にしてみたいと思います。
同時に、運営側の独りよがりな発想にならないよう、多様な参加者の方々にも経営に参加していただけるよう、「衆知の経営」を構築すべきと思っています。
ファッションで「楽しさ」は、もっと増幅する。
実は、私は中学から大学まで、ずっと卓球部に所属していました。
社会人になって30年弱の間、卓球から離れていましたが、娘が中学生になって卓球を始め、練習に付き合ったことをきっかけに再開。
それから町内の卓球大会に参加したり、地域の小学校の大会に出たりするようになり、現在は週2回・2時間程度練習しています。
私が学生の頃は「卓球は根暗なスポーツ」と言われていて(笑)
今のようなカッコいいイメージがなかったんですね。
当時より自分が好きなスポーツが、ネガティブイメージを持たれることに悲憤を感じておりました。
「何かを変えないといけない。明るく自由でオープンな環境と卓球関係者が生涯生活できる仕事があることは絶対必要」と思い続けてきました。
そのために、私たちのようなアパレルメーカーが卓球市場に入って、新しい風を起こしたい、卓球界のカンフル剤になりたいと考えました。
「卓球を明るくするには、ファッション性を変える必要がある」と言うのは簡単です。しかし、実際は困難の連続でした。
BOBSONは2009年から、ダンスやゴルフなどのウエアを生産販売してきたので、スポーツウェアの基本的ノウハウは持っていましたが、単なるスポーツウェアを作ったところで全然おもしろくありません。
全部デニムで作ってしまうと、スポーツに必要とされる機能を十分果たせません。
ジーンズブランドのBOBSONだからできる、ユニークな商品を生み出したい。
どこのメーカーも今まで作ったことがない、まだ世の中に存在しないアイテムを開発したい!
そう考えた私たちは、社内で「ああでもない、こうでもない」と話し合いながら考え、最終的にみんなで出した結論は、デニムとポリエステルの融合でした。
「共創」がBOBSONのDNA
デニムとポリエステルを融合させるというアイデアにたどり着いたものの、技術的にクリアしなければならない課題は山積みでした。
ジーンズは、綿100%のデニム生地。スポーツ素材といえば、ポリエステル100%。
糸の太さも、強度も、織り方も、縫製に使用するミシン、洗い方法も、何もかも違う生地をどうすれば融合させられるのか。
しかも、まったく縮率と組成が違う素材を、デニム用のミシンで縫製することは、大変難しいのです。
異素材を合わせたスポーツウェアは、ハードな使用や洗濯にも耐えられるのか?
手作業で1点1点作るので大変手間で、国内縫製のコスト面での難しさもありました。
長年の経験と知恵と技術をもって、試行錯誤を重ね、試作を作り続けること2年。
2020年頃から、まずは私たちのイメージしたようなデニムベースのスポーツウェアをようやく作れるようになりました。
そして2021年、まだらにブリーチ加工をしたデニム生地をライン状にあしらったスポーツウェアが完成したのです。
この商品が誕生した時、思わず「面白い!」と感動したんですよ。
デニムライン部分は、手作業の洗い加工の為、雰囲気や柄の出方、色味などが1点1点全部違うので、同じように見えても1点も同じウェアはありません。
こんなスポーツウェア、世界のどこにもない。しかも、それを「ほしい」と言ってもらえ、チームウェアに採用された時はメーカー冥利に尽きましたね。
最近は、選手やファンの方々から「こういう商品がほしい」とユーザーの貴重な声を直接、聞けるようになりました。
すでに、具体的なご要望もたくさんいただいているので、今は、それらを最優先で形にしていきたいと思います。
このラージボール大会には、どのスポーツ業界にも無いウェアを優先的に提案していきたいです。ひいては卓球業界の全体のファッション性を高め、「自己表現」を着ることで明るく楽しいプレー時間が過ごせるようになれば、たいへんうれしいですね。
お洒落なシニア女性卓球愛好者は増えていますから、日本の男性卓球愛好者は、もっとファションを意識すべきです。ミックスダブルスの時に、パートナーの女性から「プレーでもファションでも」喜んでもらえるようになるべきだろうと思います。
卓球は「全力疾走しながらチェスをするような競技」だと言われます。
会社経営も同じなんですね。
走りながら考え、実践し、修正していく。
常に周りは移り変わっていくし、1つの素材やアイテムの登場によってシーンがいきなり大転換することもあります。
だから、最も変化のめまぐるしいファッション業界で会社を経営するなら、過去と未来を意識しなければなりません。
一方で、遊びと余裕がないと楽しいものは、生み出せません。
これからも楽しいものづくりを続け、新しい卓球ファッションを提案できたら最高だと思っています。
最後に、弊社の経営コンセプトは、ジーンズブランドメーカーであることをアンカーとし、地場産業との補完関係を優先する「スモールマスプロダクションによる適価」を基本としています。また、製品開発に重点を置き、業界を超えてオリジナル性を生み出していく「共創」を行います。
バランスシート重視のキャッシュフロー経営を常とし、ステークホルダー共々安心して一緒に未来に向かっていくことを目指していきます。